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乳幼児突然死症例・診断の手引き

  LINK: 職種別 SIDSに対応するためのガイドライン

はじめに

1995年4月にSIDS(乳幼児突然死症候群)の研究会(現・日本SIDS学会)とともにSIDS症例検討会が全国的規模で定期的に開催されるようになりました。

Q1.乳幼児突然死症候群[SIDS]とは?

Sudden Infant Death Syndromeという英語の頭文字をとって、SIDS(エスアイディエス)

あるいはシズと呼ばれています。

乳幼児突然死症候群[SIDS(シズ)]                                            それまでの健康状態および既往歴からその死が予想出来ず、しかも死亡状況および剖検によってもその原因が不詳である乳幼児に突然の死をもたらした症候群」   (厚生省研究班報告書、1994年)   

身体になんら特別な異常や病気もなく、それまでまったく元気だった2歳未満のお子さんが、事故や窒息ではなく、眠っている間になんの前触れなく突然死んでしまう病態をいいます。はっきりとした原因はわかっていませんが、SIDSの発生率を高める因子があることがわかっています。                                  

SIDS例の約半数に生前に軽い鼻水や咳などが見られていますが、これらの症状で 突然亡くなるとは考えられません。SIDSとは死亡後の解剖によっても死に至るような 異常所見が見いだされない突然死を言います。特定の病気や高熱、けいれん等、突然に死亡する可能性が高かったような場合にはSIDSとはいいません。                                 

SIDSと事故や乳幼児虐待などとの鑑別は極めて大切です。

Q2.SIDSの頻度、おこりやすい年齢や季節は?                               

乳幼児突然死症候群[SIDS]

発生頻度;出生1000に対して0.5(推定)

季節;冬に多く夏に少ない。

時 間 帯;朝に発見される率が高いが、日中の昼寝の時間帯も多い。

月   齢;生後1〜4か月頃が最も多く、そのほとんどが1歳未満

日本では、最近まで年間400〜500人がこの症候群で亡くなっています。産まれた赤ちゃんの約3.000人に1人の割合です。生後1〜4か月頃が最も多く、そのほとんどが1歳未満の乳児期の赤ちゃんで、1歳以降は10%以下です。 

Q3.なぜSIDSが注目されるようになったのでしょうか?                                 

乳幼児突然死症候群[SIDS]               

乳児死亡率の改善

乳児の死因の第3位(平成12年)

社会問題として重要  

かつては多くの乳幼児が肺炎などの感染症や下痢・脱水によって死亡したため、SIDSは注目されていませんでした。しかし、日本の乳児死亡数は出生1,000人に対し3.2人、そのうち新生児死亡数が1.8人、新生児期を過ぎた乳児の死亡は出生1,000に対し1.4人という状況です。先天性異常や、お産前後の呼吸・循環障害に続いて、SIDSは乳児の死因の第3位(平成12年)を占めており、突然の死亡によるご家族のショックやその原因や責任をめぐっての裁判など、大きな社会問題にもなっています。

Q4.SIDSの原因はなんでしょうか?                                               

乳幼児突然死症候群[SIDS]

原因不明

睡眠時の無呼吸からの回復の遅れ?

だれにでも起こるが通常は再開

なぜある子どもは回復しない?

睡眠時の無呼吸からの回復が遅れる覚醒反応の異常が考えられています。睡眠時の無呼吸は健康なお子さんでもみられますが、呼吸中枢の成熟度や出生後の適応変化の遅れなど、何らかの理由で覚醒反応が低下すると無呼吸からの回復が遅れ、さらに低酸素状態に陥るという悪循環が起こると考えられています。なぜある児でのみ回復が遅れるかは不明です。SIDSはどのお子さんにも起こりうると考えられます。

Q5.SIDSと育児環境との関係は? 

乳幼児突然死症候群[SIDS]の発生頻度の比較

仰向け寝:うつ伏せ寝→1:3.0(3倍)

母乳栄養:非母乳栄養→1:4.8(約5倍)

両親の非喫煙:両親の喫煙の習慣 →1:4.7(約5倍)

平成8年の調査の結果、育児環境に関連するいくつかの因子がSIDSの発生頻度を高めることが知られています。                                    

うつ伏せ寝

SIDSはあおむけ寝でも起こりますし、うつぶせ寝が直接的な原因というわけではありません。なぜ、うつぶせ寝がSIDSのリスクを高めるかはわかっていません。

もともと呼吸中枢の発達がやや未熟な赤ちゃんをうつぶせに寝せた場合、眠りが深くなるなどの理由で、眠りからさめにくくなるためではないかとも考えられます。また、うつ伏せ寝では、音や声に対する覚醒反応に差があったという報告もあります。医学的な理由でうつぶせ寝を勧められている場合は別ですが、そうでなければ、あおむけに寝かせましょう。

人工栄養児

母乳栄養であれば感染のリスクが低いことが知られています。さらに母親との接触がより多いことや、口腔の発達が異なることも考えられます。決して人工乳がSIDSを起こすという訳ではありませんが、特別な理由が無い限りできるだけ母乳で育てましょう。                                                             両親の喫煙習慣

タバコはSIDS発症の大きな危険因子です。妊婦の喫煙は胎児の体重増加を妨げますし、呼吸中枢にも悪影響を及ぼします。妊婦の喫煙はもちろんですが、妊婦や赤ちゃんの近くで喫煙するのは止めましょう。 

添い寝は児の覚醒反応の遅れをカバーしSIDSを予防すると考えられています。母親と児が同じ部屋で別々のベッドと寝具で寝るとSIDSの発生が少ないという報告もあります。寝具は硬いマットを使用し、枕を使うのはやめましょう。

Q6.SIDSの予防法は?

 上に述べたような状況からSIDSを予防するために注意する事項は次のとおりです。

1.うつぶせ寝を止め、あお向け寝で育てましょう

2.タバコを止めましょう

3.できるだけ母乳で育てましょう

4.できるだけ一人にしないようにしましょう。

1997年4月よりSIDS家族の会が中心になってSIDS予防キャンペーンが行われています。育児環境がSIDSの発生頻度に影響するという事実を認識することで、諸外国にならって、少しでもSIDSの発生が減少することが期待されます。

SIDSはどのお子さんにも起こり得ると考えられますが、男児は女児よりも、また未熟児は成熟児よりも発生頻度が高いことは事実です。疫学的なデータからハイリスク児を 選出する試みがなされたことがありますが、その有効性は証明されていません。

睡眠時の無呼吸監視装置がSIDSの予防になることは十分考えられますが、ハイリスク児を選び出すことがきわめて困難です。前のお子さんがSIDSの犠牲者だったからと いって、次のお子さんのリスクは必ずしも高くありませんが、母親の精神的な不安を 軽減する目的で使用されています。突然お子さんを亡くされたご家族はそのショックとともに、しばしば自分の過失ではなかったかという自責の念に駆られておられます。

周囲から非難の目で見られることも少なくありません。SIDSを正しく理解することが必要です。

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9/25/01開設

1/16/03改訂